信じるものを見つけなさい

おそらく、この世の全てにはタイミングというものがあって
本との出会いもタイミングなのだろう。

以前は読んでもしっくりこなかった本が
今改めて読んでみると、ものすごい力を込めて迫ってくることもあるし
同じ作者でも、あれ本は感銘を受けたが、この本は疑問ばかりだった、ということもある。

私にとって、作家の西加奈子さんはまさしくそうで
前にも何冊か読んだが、おもしろかったものもあれば、最後まで乗り切らないものあり
結構ふり幅が大きいのだ。

なので、西さんの本については、本屋で一応一旦手に取るのだが
購入まではとても慎重になる。
装丁を見、裏の簡単なあらすじを読み、初めの一ページを読み、(さすがに最後や解説を読んだりはしない)
・・・といろいろと手がかりを探して、結局買わないことも多い。

ただ今回の「サラバ!」という本は、なぜか読む気になった。

旅行中に読む本を忘れてきて、飛行機に搭乗する前のほんの短い時間で選ばなければいけなかったから?
それも上中下、とあるのに!
それも、あんなに慎重な西加奈子さんの本なのに!

でも「サラバ!」は全て杞憂に終わった。
それどころか、大きいかどうかは今のところはわからないが、少なくとも自分に影響を及ぼしそうだ。

あらすじは、現在37歳の男性の自叙伝だ。父親の仕事の関係でイランの首都テヘランで生まれ、大阪に移り、またエジプトのカイロに渡り、また大阪に戻り、今度は東京に住み・・・というように、彼は居住地を変え、人間関係を築いていく。
なにより、その彼の家族は特筆すべき特徴をそれぞれ持ち、当然ながら彼の人間形成に大きな影響を及ぼすこととなる、

これだけでは「なんのこっちゃ」だろう。特別おもしろいものにも思えないのは私の文章の至らなさだが、やはり本質は実際に読んでみなければわからないもの。
ぜひ「サラバ!」を読んでほしい。

なにせ、西加奈子さんの本に懐疑的(そこまで言うか!)だった私が夢中で上中下一気に読んでしまったのだから、面白さは保証する。
ただし、貴方とのタイミングが合えばの話だけれど。

その中で一つだけ紹介したい文章がある。

「あなたも、信じるものを見つけなさい。
あなただけが信じられるものを。
他の誰かと比べてはだめ。
あなたはあなたなの。
あなたは、あなたでしかないのよ。」

「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」

自分のこだわりは、それを自分が信じている故のことか。
自分が願うことは、他との比較でなりたってはいないか。
自分が信じるものは、自分が本当に決めたものか。

つきつけられたように思う。

今、このタイミングで「サラバ!」を読んだ意味は、ここにあるのかもしれない。

店長松村恭子

私が書いています

松村恭子
1966年11月山口県生まれ。丙午のさそり座で、超気性は激しいはずですが、実際は…?

2009年よりながいきや本舗店長として、たくさんのお話をお伺いしています。

また、TCマスターカラーセラピスト、食育指導士としても活動しています。

家族は旦那。夫婦二人を謳歌中です。
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